先月の話ではありますが、長編自作ノベル「Dark White」が、約2年間の連載の末にようやく完結させられました。
一度は失敗して最初から書き直しているので、その期間を含めると4年かかってます。
それでも書きたかった展開を書ききれなかった部分はあるし、全体を通して粗い部分が多分にありますが、全178話・37万文字の長編ですので、書き終えられた事は達成感と自信にもなりました。
ノベルだけに関わらず、マンガやゲームなどでも、自作の物語を完結させるという事には大きなエネルギーが必要で、完成させる前に途中で折れてしまう事の方が多いんじゃないかと思います。
そう考えると、これは貴重な経験であり、結果はどうあれ、やり遂げた実績ではあるのかもと前向きに捉えています。
そこでこの記事では、長編の自作ノベルを完結まで走り切ったというひとつの経験談として、僕の2年間の執筆を終えた簡単な感想や、苦しかった事をまとめておきたいと思います。
創作に悩みながら、尚も創り続けている方へ……少しでも参考になれば幸い!
悩み苦しんで創ってるのは、アナタだけではない……!
長編執筆で苦しかった事
全てテキストで描写するのが難しい
作品を書き進めていけば、そのうち自分なりの書き方もできてきますし、少しは慣れていく部分もあります。
しかし、全てをテキストで描写しなければならないノベルという表現は、僕は非常に難しく感じていました。
たとえば、敵に殴りかかって拳がヒットし、敵がその衝撃で後方に吹っ飛ぶというシーンを書こうとします。
それは一瞬のシーンで、マンガだったら数コマ、アニメだったら数秒で終わるシーンかもしれません。
しかし、テキストノベルの場合は、どの様な角度でどの様なパンチなのかといった描写や、その衝撃や痛みや出血、吹っ飛んでいく勢いや、敵がダウンする部分までテキストで描写しなくてはなりません。
これを書くことが単純に難しく感じるのはもちろん、そのまま捻りもなく書けば説明的になるし、冗長になってしまったりします。
僕は、ラノベらしくマンガ的な表現でノベルを書いているので、随所に擬音表現も使っているのですが、やはり明確な状況描写や感情表現は文章で書かなくては分かりづらいです。
そんな、文芸的な作品なら反則的な表現も惜しみなく使っていたものの、一瞬の動作や状況を如何に効率よく、迫力を保ったままテキストで表現するか? という点には、ひたすら頭を悩ませました。
……いや、今もですけどもw
もちろん、マンガやアニメの絵で表現する事もとても難しいです。
しかし、テキストだけで表現するというのは、ならではの難しさというものがあるんじゃないかと思います。
僕は常に、その難しさを感じながら執筆していました。
思ったより、長くなる
上記で書いた事も理由の一つですが、文章で全てを表現しようと書いていると、思ったより進まなくて長くなってしまいます。
これは、僕が沈黙などの”間”の描写に拘っているからなのかもしれませんが、1話分(僕の場合は2,000文字前後)では、思っているより話の進行が遅くなり、話数が自然と増えてしまう事にも難しさを感じました。
特に最終回近くではこれを痛感していて、「まだ終わらねぇー……」と苦しんでました。
それは文章がまとまってないから……と言われればそうかもしれないんですけどw
思い描いていたシーンに辿り着くまでの準備となる展開や、新しい章に移行した序章段階など、「早く佳境に運びたい」という焦る思いから、とても辛く感じる部分でした。
大して読まれない事の苦しみ
個人創作ノベルは、当たらなければ大して読まれる事もなく、数字での目に見えた結果というものは中々得られないものです。
僕の場合は、あまり宣伝的な事や相互的な事をしてこなかった割にはかなり読んでもらえた方だと思いますが、夢見てる様なヒットというにはかけ離れた現実。
時間をかけて必死に頭を悩ませて書いたとしても、読まれずに埋もれて終わり……。
悲しいけど、それが普通っちゃ普通なんですよね。
もちろん、長編で書いていればその分だけ、結果の無い現実への苦しみが大きくなります。
書いただけ読んでもらえるなんてのは、ソシャゲのガチャより渋い確率だと思うw
そして、その苦しみは連載執筆における最大の壁だと思います。
だからこそ、最後までついて読んで下さった方には土下座するくらいの感謝なのですが。
自分の創作の信念を曲げて迎合するのは違うと思いますが、読者さんは自分の時間を使って読んでくれたわけで。
やはり、それに対する感謝の気持ちは忘れてはならないと思います。
他のモノを書きたくなる
反応がなければ「こりゃダメかも?」なんて思い始めますし、思う様に物語を展開させていけなかったり、世界観やキャラクターに自分自身が疲れてくる事もよくありました。
そして、そうなるたびに新しい物語を始めたくなるというw
しかし、複数の作品を同時に進めるのはかなり大変です。
僕は最大で4作品同時に書いてましたが、どれかの更新が疎かになってきますし、メインであるはずの長編の更新を滞らせるワケにもいきません。
この欲求は意外とよく湧き上がってきたものですが、あんまり赴くままにはやらない方がいいと感じました。
全ての作品に力を入れて執筆するほどの気力を保てません。
この欲求……もしかすると、フェードアウトする様に更新されなくなるノベルの要因のひとつなのではないでしょうか。
要するに、一つの作品にひたすら向き合って最後まで走る事というのは、すごくエネルギーが必要な事であり、どうしても他の事に目がいってしまう部分はあるという事です。
はじめて長編を書き終えてみて
ここまでで綴った、長編執筆で感じた苦悩……。
これらは、個人創作ノベル作家さんにとっては、割と”あるある”な事なんじゃないでしょうか。
そして僕の場合、それらの苦悩を乗り越えて最後まで執筆した先に待ち受けていた現実。
それは、特になんの結果も出してないという悲しい現実でした。
もちろん、「自分として表現したい世界観と物語をひとつ書き終えた事」には、達成感と自信が返ってきます。
これは、今後の創作活動の後押しにもなると思いますし、後々になんらかの結果を生む可能性はゼロではありません。
しかし、側から見れば……書き上げた自分以外の視点から見れば、特に何か目に見えた結果を残したわけでも無いのです。
見てもらえたこと、読んでもらえたこと、FAまでもらえたこと……それはものすごく嬉しい事で、感謝の極みであり、自分にとっては大きな結果です。
しかし、目に見えた数字的な結果というのは何ひとつ無いに等しく、自分以外から見れば”自己満”というやつなのだろうと思います。
創作というのは多くの場合、楽しいと同時に悩みの種であり、苦しいものでもあると思います。
きっと、同じ様な事を思っている創作者さんは五万といると思いますし、虚無感や徒労感に苛まれて筆を折る人をどれだけ見てきた事か。
そう考えた上で思うのは、人気であるとか評価を得るといった目標ではなく、やはり”完成させる事”をまず目標にした方が、筆を折らずに済むのではないかな、という事です。
あわよくば、創作で収益を得たい、人気者になりたい……そんな願望は創作者たる者誰しもが思い描いているところはあると思いますし、僕自身にもあります。
しかし、それを目標として目指していると、中々結果が返ってこずに苦しむ事となります。
結果は後から返ってくるもの。
まずは、自分が表現したいモノを完成させる……そのために突き進む事を重視した方がいいと考える僕でした。


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